2010年8月4日水曜日

NTT DoCoMoのSIMロックフリー

 NTT DoCoMoが携帯のSIMロックを解除する動きに出るという。

SIMロックとは

 SIMロックというのは、簡単に言うと、携帯各社が、自分の会社の規格でしか通信できないようにするためのSIMカードというチップを携帯本体に組み込むことで、自社専用の携帯電話を他社の通信網で使わせないようにする仕組みである。
 本来、SIMカードを別の携帯に入れ替えれば、今までのとおり使えるようになるのだが、それを各社が他社のSIMカードでは使えないようにロックしているのである。

 SIMロックのために、我々は通信会社を乗り換えるときには、携帯の本体も買い替えなければならないし、あの会社の出している携帯を使いたいな、と思っても、現在契約している通信会社が違えば使えない。
 要は顧客を囲い込むための携帯各社の取り決めであって、ユーザにとっては何一つうれしいことではない。

伏兵アップルにしてやられたDoCoMo

 そのSIMロックを解除すると発表したのがNTT DoCoMoである。なぜSIMロックを解除する方向に動いたのか。おそらくソフトバンクに対抗するためだろう。
 ソフトバンクにはiPhoneの一件でやられているNTT DoCoMoである。Xperiaで挽回を狙ったものの、個人的にはiPhoneに軍配が上がると思う。Andoroid携帯にも期待はしていきたいが、やはりappleはセンスやこだわりが並大抵ではない。
 私はDoCoMoユーザなので、iPhoneは家電量販店のデモでしか触っていないが、驚くほど反応がよく使いやすさを感じた。

 ソフトバンクは価格破壊のために、ADSLのときから旧国営電話会社に立ち向かっていった。このときの宣伝攻勢は、様々なトラブルを引き起こし、これで何とかなると思っているのか?と思ったものだが、結局のところサポート体制も充実し、ユーザの大量取り込みに成功した。

起死回生のロック解除

 NTT DoCoMoは、起死回生の一発を狙うつもりでSIMロック解除なのだろう。しかし、そもそもSIMロックを解除するのであれば、他社も追随してくれなければ意味がない。他社の携帯がSIMロックフリーでなければ、DoCoMoのユーザが別会社と通信契約をするのを助長するだけになってしまう恐れがある。
 もちろん、ソフトバンクやAUのユーザがDoCoMo製の携帯を使うことも考えられるが、そもそもi-Modeをはじめとする、SIMロックを解除しただけで問題解決にはならないような独自規格がある。
 肝心のソフトバンクは、iPhone以外の携帯でSIMロックフリーに対応するらしい。それは当然だろう。
 ソフトバンクの“売れ線”は囲い込みにもつながるのだから、SIMロックを解除するはずがない。iPadにおいても、当初はSIMロックフリーで発売されるはずが、交渉の末、日本ではSIMロック付きでの発売にしたほどである。

本体の価格はあがるのか?

 SIMロックを解除するということは、今後は通信料金ではなくて、本体価格で儲けていこうとする流れができるかもしれない。
 すると、携帯はますます高機能化が図られ、短期的に新製品が投入されるようになり、それに伴って価格も跳ね上がるだろう。その反面、通信料金は安くなるか各社横並びになるだろう。
 現段階では、アプリが使えなかったりショートメールの対応もなくなるし、AUとはそもそも通信規格の互換性がないのでSIMロックを解除しても使えない、という問題があるため、あまり意味がないかもしれない。
 しかし、今後はSIMロックフリーを前提として環境の改善や端末の改変が行われていくことが予想される。そうなれば、ユーザには選択肢が増えるので、いい傾向になるだろう。
問題は、各社が最新の機能を持った製品だけはSIMロックをつける、というようなやり方をしてきた場合だろうか。