2011年5月29日日曜日

アドリブがきかない営業マン

 自分で電話をしてアポをとる営業マンの中には、実際に来るときに上司を連れてくる人がいる。
 折角アポを取ったにも係らず、説明をするのを上司に任せてしまい、自分は何もしない、というのは情けないことだ。むしろ、上司というのは、後ろにドッカリと座っていて、信頼感を増すためのツールとして置いておく、くらいの感覚でいてもいいと思う。

 先日会った営業は、このタイプだった。
 電話をかけてきたのが若い女性で、その上司が三十代半ばから四十代という感じ。上司は部長職で、商品の説明、ラインナップなどはすべて上司が独壇場で話を進め、傍らにいた女性営業マンは、とうとう何も商品の話をせずに終わってしまった。
 その最後に、上司が女性営業マンに「○○さんから何かありますか」と振った。それを受けて、女性営業マンは「もし、何かございましたら、ご連絡いただければと思います」というようなことを話したが、それは言われなくてもそうするし、上司が期待したのはそんな言葉ではなかったはずだ。
 わざわざ振られたのに、話す内容を用意していなかったというのは、営業マンとして勉強不足である。

 結局、電話でアポをとったにも係らず、これからいく会社のことをきちんと調べずに来てしまったことが原因ではないかと思う。とにかく色々とウェブサイトでもいいから調べておいて、こういうところに会話の糸口がないかな、などとメモっておく。
 初回なんだから、いきなり商品を売りつける必要もない。だから、なんでもいい。訪問先に関係する質問事項をいくつかピックアップしておいて、相手に話をさせればいいのだ。

 相手に話をさせずに、自分ばかりが話すのはよくない。それは、無闇にモノを売りたがる、勘違いしている営業マンに多い。
 しかし、話を全く用意していないというのは致命的である。向こうが話をしてくれるだろうなんて思ってはいけない。相手は、わざわざ忙しい中時間を割いて会ってくれているのである。それも、「話をしたいから会ってください」といわれたことを受けてのことである。
 それなのに、話を用意していないのでは、何のために会ったのかがわからない。所詮、アポをとることだけがノルマであるからそうなってしまうのだろうか。しかし、かといってそれを会社のせいにして責任逃れをしてほしくない。本当に必要なことは、アポをとって会ったその先にある。それが契約につながる人間関係構築にならなければ意味がない。時間と金の無駄遣いである。そういうやり方でいいと思って営業をしていたならば、年齢を重ねていったときに、全く使い物にならないビジネスマンに成長してしまう。たまごっちと違って、成長してしまったら取り返しがつかないのである。だから、よくないと気づいたのならば、その時点ですぐに軌道修正しよう。軌道修正に遅いということはない。気づいた時点ですればいいのである。そこで軌道修正しなければ、自分のレベルアップが遅れるだけである。

 その女性営業マンは、何も話さずに、アドリブもできずに上司と共に会社を去っていった。彼女は成長しなそうだな、と思ってしまった。そして、社名が変わっていたので気づかなかったが、その会社は以前にも他の営業マンと話をしたことがあった会社であった。もっと顧客情報の管理もしておくべきではないかと席についてから思ったのである。