2010年2月19日金曜日

古代猛獣たちのサイエンス ― 実吉達郎

 幼い頃、実家には動物や植物、鳥や虫、魚介類などの図鑑があり、それらをただ眺めているだけで楽しかった。植物よりも鳥、鳥よりも虫や動物、魚介類ならば深海魚といった、不思議な形をしていて動きのあるものに惹かれた。

 その中でも特に興味をひいたのが恐竜だった。もはや生きていないし、骨以外の実物を見た人がいないにも関わらず、なぜこの皮膚感・肉付き・色なのだろうかと思ったりもした。その凶暴な顔つきと不思議な骨格に、単純に格好いいと思ったものだ。
 それから数年経って、映画「ジュラシックパーク」を見たときは、現代のCG技術に驚かされた。見たことはないけどあまりにリアルに感じられる恐竜の質感にわくわくしたものだ。

 それからまた数年が経って、久しぶりに実家に帰り、部屋の棚の整理をしていたら、「古代猛獣のサイエンス」という本が出てきた。チラっと中身を読んでみたら、面白そうだった。きっと自分が昔に読んだものなんだろうけど、まったく内容は覚えていない。それでもう一度読んでみることにした。

 著者は動物学者で、UMA(未確認動物)という名前をつくった人らしい。様々な恐竜・猛獣の骨格などから、その生態を推測するというのが本書の主旨。やはり現存していない生物の話なので、推測するしかないのだ。その世界観に浸れるかどうかということになってくる。すると、そこで最も残念なのが、たくさんの恐竜の名前が出てくるにも関わらず、その姿の図がないために、どういった恐竜を引き合いにだしているのかがわからないのである。コンピュータでも隣にあって調べながら読むのであればいいけど、本を読むときにそんな面倒くさいことはしない。
 また、小説に書かれている話から、その恐竜の生態を推測するというのは、ちょっと無理があるのではないかなと思ってしまう。恐竜・猛獣が偏っているのもつまらない。
 それでも、ティラノザウルスの前足はあんな小さくて何の役に立つのか?サーベルタイガーの歯はあんなに長く伸びて使い勝手はよかったのか?といった問題提起を聞くだけで、興味を惹かれるものがある。
 些細なことに疑問を持って、それを理論的に推測する、という楽しさを教えてくれる本かもしれない。

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